橋本 政明, 山下 義弘, 濱崎 竜英, 谷口 省吾, 高浪 龍平, 尾崎 博明
環境技術 38(3) 205-211 2009年
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D),ペンタクロロフェノール(PCP)などの塩素化芳香族化合物は環境中では分解されにくく残留性と毒性が高いため,自然環境の汚染が問題となっている.人為的に排出される場合であっても分解処理が不可欠であるが,従来の分解処理法では完全には分解されない。また分解される場合でも長時間かかり,残留したものや分解により生成された副生成物が外部に流出するなどの問題がある.そこで本研究では,これらの問題点を解決する処理方法である超臨界水酸化法に着目し,塩素化芳香族化合物のなかでも比較的構造が簡単である 2,4-Dの分解実験を行い,その分解挙動を明らかにするとともに,TOC, 塩化物イオン濃度,2,4-Dの分解副生成物として検出される2,4-ジクロロフェノール(2,4-DCP)濃度 ,TOX濃度の測定を行った.その結果,2,4-Dが減少する条件であってもTOC, TOX濃度は減少しないことがあり,その原因として副生成物である2,4-DCPの生成と分解があることがわかった.また, 2,4-Dと2,4-DCPが検出されなくなってもTOC, TOXが検出されたため、これ以外にも副生成物が生成されていると推定された.また,2,4-Dの分解時には塩化物イオンが生成されたことから,分解には脱塩素反応が関与していると考えられた.