古谷 賢一

1 低迷の経緯 優れた金属加工技術を持つ工場がある。これをH工場と呼ぼう。H工場の歴史は長く、先人が苦労して積み上げてきた加工技術のおかげで、業界内の評判は高い。一方で、その長い歴史故の弊害も生じていた。

1 改革頓挫の経緯 優れた技術を持ち、多くの顧客から信頼を得ている工場がある。これをG工場と呼ぼう。G工場は、幅広い産業の裾野を支える製品の加工を得意としている。

第6回古谷賢一 ジェムコ日本経営 本部長コンサルタントふるたに・けんいち：大手鉄鋼メーカーの多角化事業部門にて、情報機器の開発製造事業に従事。本社より分社した当該事業会社の品質保証責任者、生産技術部門長および海外生産子会社の品質管理責任者を…

「あれほど気概にあふれた若者が、わずか数カ月で会社を去るのはただ事ではない。何か問題があるはず」。そう考えた工場長は、一体どのように教育したのか、指導係のベテランを問いただした。すると、「これまで私が先輩から教わってきた通りの教育ですよ。

古谷氏：先述した通り、出社制限などによって、「いるべき人がいない」状況が当たり前になっています。従来は頼ることのできた経験豊富なエンジニアやマネージャーが、在宅勤務で工場にいないわけです。 それでも生産性を落とさず、工場を従来通り円滑に動か…

1 改善が止まった経緯 今回は機械装置を組み立てているD工場の事例を紹介しよう。同工場では加工設備を使う場合もあるが、複雑な生産工程の多くを手作業での組み立てや調整に依存している。人による作業が多いこともあって、生産工程に関わる改善活動が盛ん…

1 指揮系統が乱れた経緯 今回は、情報が共有されずトラブルが続発したC工場の事例をみていく。まず、同工場の人員構成について説明しよう（図1）。トップである製造部長の傘下に複数の「課」があり、それぞれに課長がいる。

同工場で操業の先頭に立つ課長や実務経験が豊富な係長は皆、非常に仕事熱心だった。生産工程で何かトラブルが発生すると、すぐに主要メンバーが結集する。全員で問題を協議し、対策を実践するというフットワークの軽さを見せていた。