橋本 剛, 小林 久高, 佐藤 布武, 今 和俊, 栗原 広佑
人間と生活環境 26(2) 101-112 2019年 査読有り
本研究の目的は、対馬の石屋根のコヤの配置と集落小気候との関係を検証することである。対馬市の久根田舎集落において、2015年、2016年、2018年の冬季に小気候観測調査を行った。対馬上空で季節風が卓越する時、久根田舎集落では主に南西から西の風が吹き、北東の風が観測されることもあった。久根田舎集落の南西部には、「コヤヤシキ(小屋屋敷)」と呼ばれる石屋根のコヤの群倉が形成されている。調査の結果、集落において石屋根のコヤの群倉は冬季の季節風の風上側にあたることが確認された。久根川沿いのコヤは、冬季の季節風の風下側にあたり延焼の恐れがあるとともに、北東の風が吹く時には風上側になり相対的な強風域となる。集落北側の山沿いのコヤは弱風域にあたり、延焼の恐れが少ない。石屋根のコヤの配置パターンと風環境の関係が明らかになった。