Hirasata Keiji

ある種の非常ブレーキにおいて見られるような、高速、高面圧の過酷な摺動条件下での、球状黒鉛鋳鉄の熱的摩耗状態における摩擦、摩耗特性を、ピン・オン・ディスク式摩耗試験によって実験的に明らかにした。その結果として、摩耗状態には、これまでの普通鋳鉄とは異なり、摺動初期の摩耗速度の比較的小さい状態、それに続く摩耗速度の大きい状態、その後摩耗速度は再び減少し、安定した定常状態となる3段階の摩耗状態が存在する。この摩耗状態の遷移は、摩擦距離とともに摩擦熱が上昇することによる摺動材の硬度変化と、摺動材の熱伝導性が大きく影響していることが知られた。