本研究では、パリ市歴史中心地区における都市空間構造が生成変化して行く過程を自己組織化現象との類似性に着目して、そのシステムの一端を解明することが目指されている。そのための基礎的作業として、cadastre(地籍図)を主たる一次資料として用い、パリ市第Ⅱ区のボンヌ・ヌーヴェル地区とマイユ地区の地割組織図 (plau du tissu parcellaire)を18世紀初頭から現在にわたって復元してきたが、本稿では、それらの復元図のうちオスマンの大改造以降の状態を示す19世紀末、20世紀初頭、...
セーヌ県知事オスマンのパリ大改造以降、グラン・プロジェと並ぶパリ最大の再開発であるZ.A.C.(協議整備対象地区)に関する研究の一環である。本稿では、その中でも最大規模に属するZ.A.C.-Tolbiac地区において、アーキテクト・コーディネータが果たす役割に着目し、歴史都市パリの「歴史性」や敷地固有の「場所性」が如何にして具体化されているのか、その手法をアーキテクト・コーディネータの作成するDéveloppement du PAZを中心に分析した。