近年経営戦略論の分野で注目さる実践としての戦略(Strategy as Practice)という視点は、既存の戦略論の議論に対して様々な批判を提供するものと考えられるが、問題点も多い。その中で本章では、SaPが戦略を「戦略に関わる人々が行う何か」として定義することに対する、「戦略」と「関わる人々」を前提としているという批判について検討する。戦略とそれを遂行する人々を前提とした途端に、SaPが目指した実践の理解は既存の理論的枠組みに回収されてしまうことになる。このSaPの抱える問題に対し、人...