玉井 昌宏
土木学会論文集G(環境) 76(7) III_511-III_519 2020年
筆者らは大阪平野北部地域に北摂山地より夜間に流入する冷気流が存在すること,この気流がこの地域の気温を2℃程度低下させる効果を有することなどを明らかにしてきた.本論では,WRFを用いた数値シミュレーションにより,この冷気流の構造と形成要因を検討した.各種地上観測データや筆者らの実施したパイロットバルーンによる上空風の観測結果との比較により,計算結果の妥当性を検証した.筆者らが研究対象としてきた冷気流が,猪名川流域の多田盆地に流入,集積した冷気の大阪平野への吹き出しにより形成されていることが明らかになった.加えて,大阪平野北部地域には,この気流以外にも淀川右支流の安威川と芥川の氾濫原を流下する冷気流が存在することもわかった.