研究者業績

田口 まゆみ

タグチ マユミ  (Mayumi Taguchi)

基本情報

所属
大阪産業大学 国際学部国際学科 教授
学位
PhD(Keio University)
博士(文学)(慶應義塾大学)
Master of Arts(Osaka University)
文学修士(大阪大学)

研究者番号
30216832
J-GLOBAL ID
200901059908716240
researchmap会員ID
1000107804

経歴

 3

論文

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  • 田口まゆみ
    Notes & Queries 62(3) 364-372 2015年9月  査読有り
    ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館所蔵、写本2125およびケンブリッジ大学図書館、写本 Ff.vi.33 に収録されているイエスと聖母の短い会話は、最後の晩餐の前日、聖母から死を目前にしたイエスへの4つの嘆願を扱っている。本稿は、その原典についての情報が誤りであり、偽ボナヴェンチュラ作『キリストの生涯の黙想』に影響を受けた仏語贋作『イザベル王妃のために書かれた受難物語』(通称)のうち「聖母の4つの願い」と呼ばれる部分の訳であることを明らかにした上で、仏語原典とラテン語原材、また英訳との差異について文献学的に解説し、さらに本作品に表れているマリア信仰の特徴を分析した。
  • Postmedieval: a journal of medieval cultural studies, 3.3, “Cognitive Alterities/ Neuromedievalism” 3(3) 315-327 2012年9月  査読有り招待有り
    中世後期ヨーロッパでは、特にキリストの生涯について、言わば映像化するように現実的な想像をし、その想像世界に自分自身も置いてキリストと聖母と場面を共有し、共感するという「参加型情動的黙想 (participatory affective meditation)」が神秘主義者の間で過激化したのみならず、一般信徒にも広く流行した。この方法は一般信徒が私的な空間で実行することができたので、信仰、そして精神の自立につながり、近代における自我の形成に役立ったと言われている。本稿は「キリストを真似る」というトポスに代表されるこの自己完成型の内省的な信仰形式が流行した理由を、近年の脳神経科学理論(特にアントニオ・ダマシオの心身の連携的相互作用理論、リチャード・ド―キンスのミーム理論、ミラー・ニューロン理論)を援用して説明しようと試みたものである。
  • Mediaeval Studies 67 157-217 2005年  査読有り
    ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館蔵写本2125に収録されている宗教文献の学術的校訂版である。写本の説明・分析、作品のスタイル、典拠、作者・読者等についてのイントロダクションと注釈・語注を付した。 掲載誌Mediaeval StudiesはToronto大学Pontifical Instituteの出す学術雑誌であるが、学術校訂論文はラテン語文献に限られていた。本稿は初めてMedieaeval Studiesが掲載した英語文献の本文校訂論文である。 本テキストを収めたCambridge大学、Magdalene College、ピープス図書館写本2125は50編以上の宗教文献で構成されているが、14世紀末から1世紀以上を掛けて完成した。他の写本で発見されていないテキストや特殊なヴァージョンが多く、本作品も他写本に見つかっていない。
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 98(98) 27-46 1999年  
    現在に伝わっている中世古写本の性質、内容について紹介し、その上で未だに一般研究者にはアクセスの乏しい状況で残っているマイナーな文献に関し、特に宗教文献が当時の民衆の精神史を反映していること、あるいは大衆の精神文化を作り上げていたことを示しているということを論じた。キリスト教に色濃く染まっていた中世についてのいかなる研究も、こうした民衆レベルの教化運動を伝えるマイナーな宗教文献を軽視してはならないと言える。
  • Reading Medieval Studies 24 95-112 1998年  査読有り
    1215年のラテラノ公会議で万人に年1回の告解が義務づけられたのをきっかけに、全ヨーロッパ的に民衆とその教化にあたるべき教会関係者の大々的な教育が行われ、多くの宗教文献が書かれた。本稿では、文学作品との比較により、これに固有と思われてきた複数のモチーフや比喩が実は一般信徒を対照として書かれた宗教文献に見出されることを指摘し、文学研究においてもその土壌となった文化的背景を正しく知ることが重要であることを述べた。

MISC

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  • Studies in Medieval English Language and Literature No. 23(pp. 77-84) 2008年  
    編者Paul Strohmは、これまで顧みられなかった作品にも光をあて、未開拓の、あるいは議論が熟していない領域に踏み込むことを目的とし、執筆陣もあえて斬新で自由な発想を持つ研究者を集めた。研究対象、批評理論、研究者のオーソリティ、キャノンの問題点や限界に切り込みを入れる大胆さ、新しい視点、新進の研究者を起用する柔軟な姿勢が全編を貫いている。全編を通じて様々なアングルから繰り返される主張の大前提は写本であり、中世文化の「流動性」である。
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 116 279-93 2005年6月  
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 114 135-61 2004年10月  
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 113 201-217 2004年6月  
  • 『英語青年』 研究社 (pp. 762-63) 2004年3月  査読有り
    中世末期英国の女性神秘家マージェリーによる『マージェリー・ケンプの書』は、口述筆記によるため3人称表記になってはいるものの、英語で書かれた最初の自叙伝であり、当時の一般市民の生活についての重要な資料でもある。しかし、整理された書物ではないので、原書は読みにくく、わかりにくい点も多い。これを久木田氏は、マージェリーに立ち代り、時間の流れに沿って、あるいはテーマ別に整理し、さらに中世カトリックの祝祭や典礼の実際、また、中世後期において民間の信仰の大きな要となった聖人伝やこれを視覚的に表現した宗教美術とをマージェリーの霊的成長と関連づけることで、彼女の「黙想の旅」を真正の神秘体験として見事に説明している。
  • 田口 まゆみ, 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 112 95-118 2004年2月  
    The first translation of Nicholas Love's Mirror of the Blessed Life of Jesus Christ
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 107(107) 1-22 2002年6月  
    1215年の第4回ラテラノ公会議で、全信徒に対し、最低年一回の口頭での告解が義務付けられたのを受け、全ヨーロッパ的に、罪とは何かという基本的な事項に始まり、悔悛の秘蹟を授ける、また受けるためのマニュアル的書物が大量に生産された。民間の識字率の向上とともに、写本の対象読者も多様性を帯びていくが、いずれの場合も、上記のような基本的宗教的文献を含むコンピレーションである。本稿では、MS Pepys 2125のコンピレーションとしての特性を論じつつ、そのうち特にitem3「悔い改めについて」を取り上げ、その特性と読者について考察を加えた。
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 101(101) 1-14 2000年  
    ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ蔵、写本Pepys2125に収録された作品のうち、50番「復活祭の説教」(Easter Sermon) を写本から転写し、校訂したものである。この説教論文は、大英図書館蔵、写本Harley2398写本に類似のコピーが現存する他断片で2つの写本に残っていることから、当時はかなり流布していたと想像される。聖餐の秘跡を神の晩餐とし、マタイ伝の婚宴のたとえ話(22:1-14)に絡めて、その際に身につける衣服の清浄と品格を、「信仰」の比喩として展開している。
  • Studies in Medieval EnglishLanguage and Literature No.14(pp. 139-46) 1999年  査読有り
    Ralph Hannaは写本文献の校訂に関する世界的第一人者である。印刷技術の発明以前におけるテキストの伝播過程は流動的で、現代の印刷本なら当たり前の著作権の認識も非常に希薄であった。そうした中世の書物の生成過程における事実に立脚したHannaの写本校訂に関する理論は厳格である。彼の長年の研究成果をまとめた書物Pursuing Historyの書評を行った。
  • Studies in Medieval English Language and Literature (日本中世英語英文学会) 14 139-46 1999年  査読有り
  • 『英語青年 』 (pp. 42-43) 1998年5月  査読有り
    煉獄は、地獄の恐怖をかざして民衆の教化を進めた中世キリスト教環境において、天国と地獄の緩衝地帯として登場した中世の発明である。現世での罪の深さに応じて煉獄への滞在年数が決まるが、これを残された者たちが代わりに軽減できると考えたため、死者のために捧げるミサや慈善事業が数量化されるようになった。これを起源から発展過程、その影響まで多くの資料に基づき論じた、慶応大学文学部教授松田隆美氏の著著の書評である。
  • 『英語青年 』 (pp. 42-43) 1998年5月  査読有り
    煉獄は、地獄の恐怖をかざして民衆の教化を進めた中世キリスト教環境において、天国と地獄の緩衝地帯として登場した中世の発明である。現世での罪の深さに応じて煉獄への滞在年数が決まるが、これを残された者たちが代わりに軽減できると考えたため、死者のために捧げるミサや慈善事業が数量化されるようになった。これを起源から発展過程、その影響まで多くの資料に基づき論じた、慶応大学文学部教授松田隆美氏の著著の書評である。
  • 田口まゆみ
    日本中世英語英文学会ニュースレター No.24(pp. 9-10) 1998年  査読有り
    現存する中世古写本について所収作品の整理はすでにしつくされたという印象がある一方、かなりの数のマイナーな宗教散文が、未整理・未研究のまま残っている。そうした宗教散文が単独では価値が低い場合でも、当時流布していた作品には違いなく、人びとが共有していた思想や文化を知る手掛かりとなる。アングロ・フレンチ文献のさらなる研究も含め、小品群の研究が中世文学研究上、大きな鍵を握っていることを指摘した研究ノートである。
  • 田口 まゆみ
    Journal of Osaka Sangyo University, Humanities 大阪産業大学論集 人文科学編 95(95) 9-26 1998年  
    中世古写本の中には、校訂・印刷されないままに残っている文献がまだ多数ある。そうしたマイナーな文献がこれまで看過されてきた理由、そして歴史、社会、文学研究において今後果たしうる可能性について、ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ蔵、写本Pepys2125に収録された「十字架伝説」を素材にして論じた。まず「十字架伝説」の内容と系譜について解説し、Pepys版と同系譜の異本との比較し、また、同写本を用いて、当時の英語の多様性についてデータを示して論じてゆく中、こうしたマイナーな文献から明らかになる様々な背景事項があることを示した。
  • 大阪産業大学論集 人文科学編第89号 89 17-28 1996年5月  
    キリストの磔刑に使われた木を原罪をもたらした木とつなげる十字架伝説は、多くの聖人伝などと共に中世ヨーロッパ全域で広く愛され、ラテン語で流布した他、各国言語に翻訳され、転写が繰り返された。中世英国においては、ラテン語版の他に、フランス語版と英語版があり、英語版の存在は読者、聴衆の層の広さを示している。翻訳・転写が繰り返される過程で当然テキストの異同が生じ、多くのヴァージョンが生まれたが、本稿では、直系でつながる英・仏・ラテン版を詳細に比較し、その違いに現れた聴衆の差違を考察した。
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 87(87) 1-16 1996年  
    Gawain詩人による宗教詩『清純』(Cleanness)は、たくさんの物語、エピソードから構成されているが、その組み合わせ、展開の必然性が明白でなく、主題との関連も希薄であると批判されてきた。本稿ではそのような一般的見解に対し、一見散漫な物語群が実は一貫した主題のもとに緻密に組み立てられており、あたかも1個の建築物の骨組みを組むように構成されていること、しかも、円環、ジグザグなど視覚的な骨組みを追求していることを論じた。
  • 大阪産業大学論集 人文科学編 (84) 31-40 1995年  
    社会派英国女流作家Miranda Miller(1950~)の作品、 Smiles and the Millenniumについて、主題の解釈に加え、ストーリーの手法の分析を行った。ミラーの手法は、余分な背景を削ぎ落とした、一貫した描写のsimplicityとeconomy にあると言える。特に、舞台の場面転換に似たエピソード展開、舞台道具を想起させる背景描写、主人公を含む登場人物が発話内容によって区別されること、季節や時間が希薄であることなどの手法に着目し、この作品の演劇との類似を指摘し、その効果と主題との関連について論じた。
  • 田口 まゆみ
    大阪産業大学論集 人文科学編 (83) 61-64 1994年  
    名文家として名高いジョージ・オーウェルは、言語について明確な論理・主張を持っており、これを扱ったエッセイもある。一方、彼の代表作『1984年』の中で、人民のマインドコントロールの道具として描かれている新言語‘Newspeak’も彼の言語意識の現れである。オーウェルは、‘Newspeak’によって、この新言語の象徴する思想の弾圧、強制を批判しているわけだが、皮肉にも、この新言語‘Newspeak’が、本質的に、オーウェルが理想とする言語思想を投影している点を指摘している。
  • 大阪産業大学論集 人文科学編 (82) 79-91 1994年  
    中世英詩『清純』(1993)の校訂版への補遺として、特に、解釈上難解な語や文、複数の研究者の間で解釈が異なっている個所、写本の読みについて意見が一致していない個所等について、編者の見解をはっきり表すべく、その根拠とともに示し、詳しく述べている。一例をあげると、’gere (gear)’ (l. 16) について、従来のaffairsに対しclothesという解釈を示している。理由として、この語の前後に衣服の汚れと罪を関連付ける象徴が使われていること、さらに衣服の象徴は物語を通して重要な役割を果たしているので、この解釈を採用することにより物語の円環構造が教化されることを述べている。
  • 大阪産業大学論集 人文科学編70 1990年9月  
    中世英語による長詩Cleannessの註釈および翻訳の第三部である。(一部、二部はそれぞれ産大論集・人文科学編68、69号に記載) 既刊の各エディションのテキスト、註釈、語彙集を照合し、写本のマイクロコピーに基づいたものであり、今回で完結のため、末尾に重要文献集を付した。
  • 大阪産業大学論集人文科学編68・69号 1990年2月  
    本稿はCleannessあるいはPurityと呼ばれる14世紀末の英詩を3部に分けて訳出してたもののⅠ部とⅡ部である。(Ⅲ部は70号に掲載)本詩には写本が1本しか残っていないが、その写本のマイクロコピーを定本とし、Ⅱ部では既刊の全註釈書を照合した上で、詳しい註をつけた。訳は、口承文芸であることから、新しい文体による平易な文章を心がけ、註は、テキストワークに関するもの、レファランスとして重要なものを中心としている。

主要な書籍等出版物

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  • Mayumi Taguchi, John Scahill, Satoko Tokunaga (担当:共著, 範囲:全体)
    Oxford University Press 2021年7月22日 (ISBN: 9780192847676)
    This is volume II of the first scholarly edition of the Golden Legend, the largest and most elaborate production of the first printer in English, William Caxton. This second volume contains Caxton's most notable addition: a series of Old Testament legends, from Adam to Judith; it contains its own explanatory notes, glossary, and Index of Proper Names. It reproduces Caxton's original text with modern punctuation and capitalization, notes on content, syntax and lexis, a detailed glossary and an index of proper names. The notes provide detailed support for the view that Caxton's text is largely based on the work of an earlier unknown writer in English. They also demonstrate that writer's strikingly independent handling of a variety of sources, including the Latin Vulgate Bible, the Historia scholastica, the French Bible historiale, and the English Cursor mundi and the Wycliffite translation of the Bible.
  • ジェフリー・チョーサー, 監訳, 池上忠弘 (担当:共訳, 範囲:律修参事会員の召使いの話)
    悠書館 2021年7月15日
    英詩の父と称されるジェフリー・チョーサーの韻文物語集『カンタベリ物語』は中世英文学を代表する一大傑作である。日本語でもこれまで十指に余る翻訳が出版されてきた。本新訳は、原作の構成に似せて、さながら巡礼一行のごとく総勢二四名の日本中世英文学の学徒がこの計画に参加し、訳業を完成させた。
  • Mayumi Taguchi, John Scahill, Satoko Tokunaga (担当:共著, 範囲:全体)
    Oxford University Press 2020年7月30日 (ISBN: 9780198867968)
    This is volume I of the first scholarly edition of the Golden Legend, the largest and most elaborate production of the first printer in English, William Caxton. It is an English translation of Jacobus de Voragine's Legenda aurea (ca. 1267), a collection of legends for the feasts of saints (the Sanctorale) and other major days of the liturgical year (the Temporale). The Legenda aurea was one of the most popular and influential books in the later medieval Western world; it circulated widely, and was repeatedly translated into many vernacular languages. This volume reproduces Caxton's original text of the Temporale with modern punctuation and capitalization, notes on content, syntax and lexis, a detailed glossary, and an index of proper names.
  • 田口まゆみ, 家入葉子 (担当:共著, 範囲:言語的解説を除く全体)
    Heidelberg: Universitaetsverlag Winter 2019年5月
    This Middle English prose survives uniquely in Cambridge, Magdalene College, MS Pepys 2125 and has not been previously published. It is one of several Middle English translations of the Passion sequence of the pseudo-Bonaventura Latin _Meditationes vitae Christi_. The Introduction includes an extensive description of the manuscript which is a late medieval devotional miscellany, and a detailed account of the language of the text. It also addresses the textual tradition. The edited text is followed by a commentary, glossary and bibliography.
  • 田口まゆみ (担当:分担執筆, 範囲:“The Use of Sources in The Historye of the Patriarks and Caxton’s Golden Legend”)
    Turnhout: Brepols 2018年2月 (ISBN: 9782503568478)
    中世末期の英文学作品はその多くがラテン語、フランス語の作品の翻訳・翻案である。さらに、中世の作家たちは、複数の作品の訳を統合して一つの作品に作り上げたし、一つの原典作品に対しても複数の言語によるヴァージョンを比較しつつ翻訳を行った。よく認知されていないこの事実を、聖書物語を扱った二つの作品について詳細に解説・証明し、さらに俗語聖書が禁じられていた15世紀イギリスの文化的背景に照らし合わせて論じた
  • Stephen Kelly (Queen's, Univ Belfast, Ryan Perry, Ke, Denise Despres, Univ of Puget Sound, Maureen Boulton, niv of, Notre Dame, Mary Dzon, iv, of, T, Knoxville, dlsns Villalobos Hennessy (City, Univ of New York, Rachel Canty, David Griffith, iv of Bi, m, Sheila Sweetinburgh, Univ of Huddersfield, Sarah Macmillan, niv of Birmingham, Daniel McCann, iv of Oxford, Elizabeth Scarborough, Queen's Univ Belfast, Eleanor McCullough, Univ of, York, He
    Turnhout: Brepols 2014年7月
    ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館蔵の写本2125に収録されている「キリストの受難の黙想」は偽ボナヴェンチュラ作『キリストの生涯の黙』の受難部分の中英語訳である。本論は、このテキストの校訂版準備の一環として(上記5と同じくMiddle English Texts シリーズとして刊行されることが決まっている)、テキストの特徴を他の翻訳とも比較しながら検証した。特に、翻訳に使われたラテン語テキストについての調査において、A. C. Peltierが校訂した『キリストの生涯の黙想』(1868)が本文系譜的に近いことを証明した。この見解は、従来、同種の英語訳は、『キリストの受難の黙想』と呼ばれる『キリストの生涯の黙想』の抜粋版をもとに作られたとする解釈を覆し、さらにこのラテン語抜粋版『キリストの受難の黙想』が単一の系譜を持つものではなく、別々に同じ衝動のもとに発生したものであることを示唆する見解として評価された。
  • Simon Horobin, Oxford Univ, Linne R. Mooney, Timothy Graham, niv, of, New Mexico, Richard Firth Green, Ohio State, Uni, Carrie Griffin, iv of, B, Gareth Griffith, iv, of, Phillipa Hardman, Univ of Reading, John C. Hirsh, Georgetown Univ, Terry Jones, independent scholar, Takako Kato, M, Mary Morse (Rider Univ, James J. Murphy, Univ of California, Davis, Natalia I Petrovskaia, niv, of, Cam, Susan Powell, Salford University, Ad Putter
    York: York Medieval Press 2014年7月
    ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館蔵、写本2125は、14世紀末から15世紀末までの100年間に再製本や文献の追加・削除が行われ現在の形になった。宗教的文献のコンピレーション写本であり、収録されている文献の数は、図書館カタログによれば52である。恐らく初め個人に所有されていたことが原因であると考えられるが、後継の写本が残っておらず(つまりこの写本からコピーされた文献が知られていない)、従ってこの写本にのみ現存するヴァージョンや文献がほとんどである。筆者は写本の形状的特徴(materiality)を初め、収録された文献の特殊性を精査し、この写本が形成されていった過程とその文化的背景について詳細な分析を行った。
  • Richar Dance, Cambridge University, Laura Wright, Cambridge University, Javier Calle Martin, iversity of Malaga, Spain, David Moreno Olalla, iversity of Malaga, Julia Fernandez Cuesta, Luisa Garcia Garcia, J. Gabriel, A. Carredano, Seville University, Gabriella Mazzon, rsity of Cagliari, Hanz-Jurgen Diller (Ruhr, University, Bochum, Cynthia Allen (Australian National University, Ewa Ciszek, Adam Mckiewicz, University, Poland, Maria Jose Carrillo-Linares, E. Carrido-Anes (担当:分担執筆, 範囲:"Devotional Terms and the Use of the Bible in Nicholas Love's Mirror of the Blessed Life of Jesus Christ”)
    Frankfurt am Main: Peter Lang 2012年 (ISBN: 3631628757)
    ニコラス・ラヴによる『イエスキリストの尊い生涯の鏡』は偽ボナヴェンチュラ作『キリストの生涯の黙想』の英語訳で、15世紀初頭、禁止されていた英語訳聖書の代わりの書物として教会から認可を受けたため、多くの写本が作成され、今も残っている。この書は、リアリスティックに想像したキリストの生涯の世界に自己投入することにより宗教心を駆り立てる「黙想」という方法をさらに広めた。この類のテキストに特徴的に用いられる、想像力を駆り立てるための用語について、特にstir, reason, open, edify, profit, fruitful, exampleといった用語のラヴの本作品中での頻度・分布を詳細に調べた。またラヴの聖書引用の特徴についても精査し、ラヴの意図は信徒の教育であり、言わば言葉によって教育的な絵を描こうとしたと言えるのではないかと結論した。
  • 田口まゆみ
    Heidelberg: Universitätsverlag, Winter 2010年 (ISBN: 9783825357504)
    『創世記物語』は、中世ヨーロッパ全域で神学の教科書として使われた上、広く引用され、翻訳されたペトルス・コメストル作『スコラ神学の歴史』(Historia Scholastica, c. 1170)の創世記部分を翻訳し、さらにその仏語訳『聖書物語』(Bible Historiale, c. 1295)およびウルガタ聖書の翻訳と組み合わせ、同時代のその他の聖書物語からも影響を受けつつ独自の作品となっている。本校訂版では『創世記物語』と上記のラテン語・仏語テキストを並列して4点を比較できるように配慮し、『創世記物語』と作品の材源テキストに対する2種類の後注で解説している。 序論では上記原典の解説に加え、写本についての文献学的記述、『創世記物語』の言語的特徴、読者層などについて述べている。特に、仏語訳『聖書物語』からの翻訳であるという従来の説とは異なり、複数の材源を同時に参照しながら新しい版を作成していったことを明らかにすることができた。また聖書翻訳が禁じられていた15
  • 高宮利行, 松田隆美編 (担当:分担執筆)
    雄松堂 2008年12月
    Gawain詩人の項目を担当。ただし、近年の研究動向については松田隆美氏が執筆。 本書は中世文学の原典を読み、調査するために必要な基本情報を網羅して若い研究者の育成に寄与することを目的としたガイドブックである。中世イギリス文学の作品を主要作家やジャンルごとに解説して、主要なテクストの校訂版と研究書、さらに最近の研究動向も紹介している。英語以外の中世ヨーロッパ文学、宗教史、美術史、書物史などの関連分野論文、近代以降のイギリス中世文学受容の歴史も収録し、文学作品と歴史的事件を対比させた分かりやすい年表も付している。

講演・口頭発表等

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  • ジャネット・バートン, マーガレット・コノリー, ウィリアム・マークス
    「キャクストン版『黄金伝説』の校訂版作成:第1巻及び第2巻」企画 国際シンポジウム 第二部:講演会 2019年12月8日 科研基盤研究(B)(研究代表者:大阪産業大学 田口まゆみ) 京都大学 共催  招待有り
    海外から3名の編集文献学者(textual scholars)を招聘し写本・揺籃期本テキストを校訂するプロセスについて、またそれを使って研究することについて講演会を開いた。講演の詳細は英文の通り
  • 田口まゆみ, 合司会)ジョン・スカヒル(討論司会, パネリスト, 小野祥子, ジャネット・バートン, 大野英志, マーガレット・コノリー, 家入葉子, ウィリアム・マークス, 徳永聡子, 池上惠子, 中尾佳行, 地村彰之
    日本中世英語英文学会 第35回全国大会 2019年11月30日 日本中世英語英文学会  招待有り
    Project “Editing Caxton’s Golden Legend, vols 1 & 2” (Grant-in-Aid for Scientific Research (B) 15H03190) hosted an international symposium on editing medieval texts, inviting three Japan-based editorial teams (Ancrene Wisse, Canterbury Tales, Meditations on the Passion of Christ) as well as three specialists from the UK: Prof . William Marx (General Editor of the Middle English Texts series, Council member of the Early English Text Society), Dr . Margaret Connolly (General Editor of the Middle English Texts series) and Prof . Janet Burton (General Editor, Boydell and Brewer, Monastic and Religious Orders series). This symposium proposed the theme that “editing” a manuscript or incunable text is inseparable from “interpretation”.
  • 田口 まゆみ
    Early Book Society Sixteenth Biennial Conference 2019年7月8日 Early Book Society
    本研究発表ではCaxtonが翻訳・印刷した『黄金伝説』の現存本において初刷と2刷が混製本されていることについて、その理由を考察し、英訳聖書の作成・出版が15世紀英国で禁止されていたことと関連づけて仮説を立てた。それはCaxtonが『黄金伝説』に付け加えた旧約聖書物語が聖書の忠実な新訳を含む事実を懸念してのことではなかったのか。決定的な証拠は残っていないながら、当時の聖書物語の需要および受容について類似の文献(研究員が校訂したHistorye of the Patriarks他)の例と比較しつつ議論することができた。
  • 田口まゆみ, 徳永聡子
    The New Chaucer Society 2018 Congress 2018年7月12日 The New Chaucer Society
    初期刊行本を写字する作業からその作品について、また当時の印刷の実際について学ぶことができることについて、現在準備中のCaxton作、印刷、『黄金伝説』の場合に見られる印刷の揺れを材料にして論じた
  • 田口まゆみ, 徳永聡子
    Twenty-First Biennial International Congress of the New Chaucer Society 2018年7月12日 New Chaucer Society
    Early English Text Societyからの出版を目指してCaxton訳・印刷_Golden Legend_の校訂版を準備中であるが、この研究過程で明らかになった初期刊行物の研究課題を提示した。

その他

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研究テーマ

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  • 研究テーマ
    14・15世紀の宗教文学と一般信徒の信仰:写本文献の伝播と変容に基づく研究
    キーワード
    西欧中世、宗教文献、敬虔主義、写本研究、初期印刷本
    概要
    主に15世紀の写本文献を中心に、同じ写本に収録された文献の種類と配列順序なども合わせて考察することにより、当該の文献や写本の受容者像を考察する。ヨーロッパ全域の文化的背景も考慮する。
    研究期間(開始)
    2012/04/01
    研究期間(終了)
    2015/03/31
  • 研究テーマ
    ウィリアム・キャクストン訳『黄金伝説』に挿入された聖書訳
    キーワード
    15世紀、英国、聖書、黄金伝説、キャクストン、初期刊行本
    概要
    ウィリアム・キャクストン訳『黄金伝説』に挿入された聖書訳の典拠研究。また、15世紀後半の英訳聖書の受容について考察する。校訂本を計画中。
    研究期間(開始)
    2013/03/01
  • 研究テーマ
    ピープス図書館写本2125番に関する研究
    キーワード
    写本、15世紀、校訂、宗教文献、コンピレーション
    概要
    後期中世の宗教文献コンピレーション写本の中でも特に特異なヴァージョンを多く収録するこの写本の内容と特徴を詳細に述べ、15世紀英国の宗教文化の特性について考察する。この写本中の未刊行の文献を校訂・出版する。
    研究期間(開始)
    1994/03/01
  • 研究テーマ
    後期中世英国における宗教文献の伝播について
    キーワード
    写本研究,宗教,中世イギリス
    概要
    後期中世英国、特に14-15世紀における宗教文献の伝播について、 写本研究を通して考察を加える。
    研究期間(開始)
    1995/04/01
  • 研究テーマ
    ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの生涯の生涯の黙想』
    キーワード
    15世紀、聖書、黙想、キリストの生涯、ウィクリフ、ロラード
    概要
    聖書の英訳が禁止されていた15世紀英国における同書の目的、影響などを考察する。邦文訳も進行中である。
    研究期間(開始)
    2004/01/01
    研究期間(終了)
    2010/12/31
  • 研究テーマ
    Historye of the Patriarks (Cambridge, St. John's College, MS G.31): 中英語による『創世記』訳の校訂・刊行
    キーワード
    15世紀、聖書、中英語、創世記、聖書注釈、ペトルス・コメストル
    概要
    Historye of the Patriarksを典拠とパラレルに並べた校訂本を出版した。
    研究期間(開始)
    2003/10/01
    研究期間(終了)
    2009/11/30
  • 研究テーマ
    後期中世:個人主義の萌芽 ― 内省的信仰形態の発展に見る認知的特徴
    キーワード
    黙想、民間信仰、15世紀、ニコラス・ラヴ、キリストの生涯
    概要
    15世紀英国で一般的であった信仰形態を、その認知に関わる表現の特質を脳神経学的に分析し、どうして抑圧の世紀15世紀に、続く改革の時代の準備が整っていったかを考察した。
    研究期間(開始)
    2007/04/01
    研究期間(終了)
    2012/07/31