Fujioka Yoshirou

本報告は価値共創の視点での経営診断方法についての基本概念を提示することが目的である。本報告の価値共創は北欧学派が提示するサービス・ロジックにもとづいている。それは、伝統的マーケティングが依拠するマーケティング・マネジメントのフレームワークとは違う視点で構成される。伝統的マーケティングはグッズ・ロジックで編成されているがサービス・ロジックは相互作用を中心として考察されることに特長がある。これまでに、製造業は顧客接点をもたないことから顧客との価値を一緒に創造することは困難だとされてきた。しかし、製造業がIT技術に頼らなくても直接的に顧客との接点を獲得して企業システムに組み込んでいる事例は多い。本報告は製造業がどのような方法を用いて接点を獲得して相互作用をおこなっているかについて考察する。そして、考察から得られた経営診断方法に関する知見を提示する。

ソーシャル・ビジネスの概念は抽象的であることから理念の実行へ向けた具体的な概念化が進展していない。本研究の問題意識は社会性概念の理念を掲げる企業や組織の運営方法の概念化、精緻化を進展させることである。ソーシャル・ビジネスは「価値は生活の中で顧客が決める、その価値を共創する、ビジネス」と捉えられる。本研究はマーケティングの北欧学派が提唱するサービス・ロジックからのアプローチを採用する。本研究の課題はサービス・ロジックにもとづくと「顧客領域の活動とビジネス領域の活動の接合をどのように捉えることができるか」を提示することである。