前迫 ゆり

シカが採食しない植物として知られるクリンソウが，シカの過密度個体群圧の条件下でどの時期に採食されるのか年変動を調査した。あわせてシカの化学的防衛に関する物質を化学分析により抽出することに成功した。

全国的に拡大しているシカの植生に対する影響を全国アンケート調査により明らかにし，10年前のデータと比較検討した。

2019年8月に企画したフィールドシンポジウム｢大台ヶ原の森は蘇るのか－長期モニタリングから森とシカの生態系保全を考える｣の企画趣旨と大台ヶ原の生態の現状について報告した。

和歌山県田辺湾畠島の植物社会学的調査およびフロラについて報告した。

江戸時代から現代までの古文書および集落文書などを紐解き，琵琶湖地域のサギ類，カワウの民族学的研究を通して，現代の自然環境の保全に寄与することをめざした。

東日本大震災直後から地域で生態学，社会学，歴史学，民俗学など多岐にわたって調査した記録

照葉樹林のシカ生息密度を自動撮影装置によるカメラトラップ法と糞塊密度の両方によって，評価し，植生毎に，シカの森林利用に差異が生じるかどうかを検証した。 その結果，春日山原始林全域においてシカは生息しているが，その利用には分布の偏りがあることが明らかにされた。適応的管理において重要な知見が得られた。

竹生島における山林資源の利用と活用を民族学の視点を中心に丹念に調べるとともに，社会学，鳥類学，生態学の領域においても社寺林の歴史的背景と重要性について考察した

シカの個体密度が高い照葉樹林（世界遺産春日山原始林）において，クリンソウ(絶滅危惧Ⅱ類）に対するシカの採食影響を2年間モニタリング調査し，採食影響を評価した。（原著論文）

貴重な温帯林が成立する芦生天然林(京都大学芦生研究林）ではシカの採食圧が高く，それに対する保全研究が遂行されている。植生とシカの保全に関する議論の場として，芦生天然林でフィールドシンポジウムを企画し，研究集積をベースにし，森林再生の課題と保全に向けての議論を行った。

東日本大震災後の地域の回復を、社叢を通じて論じた。地域のレジリエンスと社叢の再異性について論じた招待原稿。

平城山をテーマにした特集された招待原稿。平城山と春日山の関係性を論じ，春日山の歴史性と現代の生態的課題を論考した。

ツクバネガシの落下動態を調査し、その後の実生発生までのプロセスを解析することによって、ブナ科1種の生活史の初期段階を明らかにした。

東日本震災エリアにおける海岸植生と社叢植生の調査と空中写真による震災前後の比較により、現状を報告し、震災後の地域再生の視座について考察した。

本論文は，天然記念物ナギ林において，開空度と外来種ナンキンハゼの侵入による植生動向との関係性，さらにシカの採食とナギ林動態について考察したものである

日本の棚田百選（農水省）と重要文化的景観（文化庁）にも選定されている明日香村稲渕の棚田を対象にフロラと群落の多様性について調査を行い，棚田に成立する群落と人の「農」のかかわりが，地域植生の多様性にどのように関わっているかについて考察した。

滋賀県犬上川に成立するタブノキ林の地域固有性について論じるとともに、河辺植生の保全と行政の対応について問題提起をした論文。

常緑多年生草本ミヤコアオイの繁殖および生長に及ぼすニホンジカの採食影響について解析した。

琵琶湖国定公園特別保護区の竹生島には地域固有の照葉樹林であるタブノキ林が成立している。局所個体群カワウの影響により林床に拡散している外来種アオスズメノカタビラ（滋賀県初記載）の分布について明らかにした。

春日山原始林における歴史性と文化性を概説した後，近年の春日山照葉樹林の動態について，空中写真のギャップ判読の経年変化によって，明らかにした。さらに，植物社会学的調査による種組成を明らかにし，ギャップとの関係について検討した。